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オオタカの生態

オオタカ和名:オオタカ
学名:Accipiter gentilis fujiyamae
英名:Northern Goshawk

 

 

 

世界の分布・日本の分布

世界の分布

オオタカは、北半球のユーラシアから北アメリカに至る亜寒帯と温帯地域に、広く分布しており、9亜種に分かれている。それぞれの亜種の分布は以下の通りである。

世界分布

 

日本の分布

日本分布北海道から本州の広い範囲で繁殖。四国、九州の一部でも繁殖が確認されている。


 

 

 

 

 

 

 

 

生息状況

生息数は、1996年に少なくとも1000個体、2005年には少なくとも2000個体前後と推定されている。ただし環境省は、この変化は調査の進展により新たな生息地が確認されたためであり、個体数が増えているということではないとしている。
個体数推定の変化から、レッドリストの改定にあたり絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧に変更された。

なお、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」では、「国内希少野生動植物種」に指定されている。

 

形態

成鳥

成鳥オオタカ成鳥は、背面は青みを帯びた黒色、腹面は白色に細い波状の暗灰色の横帯がある。目は黄色からオレンジで、白い眉斑が特徴的である。 体長は、47~59cm、翌開長が106~131cm、体重540~1,170gであり、メスがオスよりも大きい。

 

 

 

 

 

幼鳥

幼鳥幼鳥では、頭や背は褐色で、胸や腹はクリーム色。胸には、褐色の縦斑がある。生後約1年間はこの色彩をしている。巣立ち直後は、目の色が灰色がかっているが、徐々に黄色く変化して行く。

 

 

 

 

 

 

オオタカの大きさ

オオタカはトビよりもひと回り小さく、カラスと同程度の大きさ。オスよりもメスが大きく、全長は雄で平均約50cm、雌で平均約56cm。翼を広げた翼開長は、雄約106cm~雌約131cm程度の中型のタカである。 

        大きさ比較

 

食性

オオタカの食性

食性オオタカは主に鳥類を好んで狩り、なかでも一番良く食べるのは中型のハト類である。また、近年ではカラス類を食べることも多くなっている。ほかにはリスなどの小型哺乳類も餌となる。オオタカのすむ林には、羽をむしった痕が残っている。

 

 

 

生息環境

オオタカの生息環境

生息環境オオタカは、山地の森林から都市の緑地まで広く生息する。なかでも平地から丘陵地の、森林と開放地がモザイク状に存在する地域が主な生息場所となっている。

 

 

 

 

 

繁殖

オオタカの巣

巣那須野ケ原では、オオタカはほとんどの場合アカマツに営巣する。 巣は直径約1mで数年使われることもあれば、一年で他へ移る場合もある。巣は、地上から10~15mほどの高さにつくる。アカマツのほかには、スギやモミなどにも巣をかける。

 

 

 

架巣形態オオタカの巣は木の幹の又になった所に掛けられるられる又型と、木の幹から横に出た枝の上に幹に寄り添うように掛けられた樹幹型の2タイプがある。 

 

 

 

 

 

 

 

 

巣内雛約12日齢

10前後白い羽毛に覆われた、ふ化後約11日目の雛。

 

 

 

 

 

 

巣内雛約23日齢

22前後ふ化後約23日目の雛。白い羽の間から、幼鳥の茶褐色の羽が生え始めている。

 

 

 

 

 

 

巣内雛約28日齢

30前ふ化後、約28日目の雛。体も大きくなり、茶褐色の羽も生えそろう。

 

 

 

 

 

 

幼鳥の分散

分散巣立ち後1~1ヶ月半後、幼鳥は親の営巣地を離れ、それそれのくらす場所を求めて移動していく。那須野ケ原から巣立った幼鳥に足環を付けた調査では、幼鳥は巣立って一年未満のうちに最大500kmの移動し、そこに定着している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行動圏

オスの行動圏

オス行動圏雄は1年を通じて、営巣地を含む行動圏をもっている。ただし非繁殖期には、行動範囲は広がる。雄の全行動圏の平均は約1200ha(半径2km)、そのうち日常的に良く使われる95%行動圏は約650ha(半径1.5km)。 

 

 

 

 

 

 

 

メスの行動圏

メス行動圏雌は非繁殖期には営巣地から離れ、別の場所で行動圏を持つ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

栃木県那須野が原地域における保全上の課題

生息地の減少

伐採生き物がいき続けて行くためには、個体が生存していく空間と子孫を残して行くための空間が必要です。
オオタカが生息するには、オオタカの巣が掛けられる大きな木とその周りの林が無ければ、オオタカは繁殖出来ません。またオオタカの巣の周りだけを保護しても、狩り場となる環境がなくなっては獲物が減少し、繁殖して子孫を残すことは出来ません。しかしその両方がそろった好適環境は、開発によって減少しつつあります。 

 

 

密猟

以前に比べ減少傾向にはあるものの、依然として剥製や飼育を目的とした密猟が行われています。
営巣木に登ってヒナをさらったり、成鳥を銃で撃ったりするなど悪質な違法行為が後をたちません。また、営巣木を切倒してヒナを奪うなどの素人によるより悪質でオオタカ個体群に対するダメージの極めて大きい方法での密猟が目立ちます。
密猟・密輸された希少な野生動物の流通経路として、インターネットを通じての販売が問題にります。 

 

環境汚染

オオタカをはじめ肉食性で食物連鎖の上位に位置する動物は、環境中の毒物を体内に蓄積しやすく、常に科学物質や重金属の脅威にさらされています。

 

 

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